迷宮キングダム

 男は深くため息をついた。

 この後どうすればいいのか。そう自問して、その愚かさに気付いて頭を振った。男は大臣だった。先王の御世からの宮廷の重臣だった。そして今、新王となる人物、新たなる主君である人物が目の前にいる。主君を補佐する、ただそれだけが彼の行うべきことだった。そこに疑問を挟む余地はないはずだった。

 「陛下、我が国も陛下の御代で新たな名を冠することになりましょう」…先王の遺言で、新王の代は新たな国名を付けることになっていた。若干15歳の王。先王の願いは、新世代による領土の拡大であり、そして、息子がこの国の新たな主君であるということを、国名の変更という一大事によって、国民と周辺国へ認識させることだった。かつての「新ローマ王国」は、若き新王の下、強力な支配体制とともに新たな産声をあげる――それは輝かしい瞬間のはずだった。

 そして、ほんの数秒前、新王は新たな国名を彼に告げたのだった。

「ン〜、じゃあ『社会主義路地裏学園』にするよ」、と。

…昨晩は『まよキン』のオンラインセッションでした。恐ろしいランダム表に左右されて変な名前になったプレイヤー諸氏の王国(笑)も、最初の冒険のボス戦をクリア。行動順を考え、立ち位置を思案し、スキルを駆使する戦闘はなかなか盛り上がりました。おバカな雰囲気に隠された、システマティックな展開が実に良くできたシステムですな。